一面の灰色。雨が降りしきる塵まみれの道端、そして頭上に煌めく憧憬の空。

それが世界の全てだった。

その頃、ショーウインドウに映し出される自分達の痩せた姿は、とても貧しく哀れだったけれど、当たり前のことだったから、取り立ててどうとは思わなかった。彼女が本当はとても美しい少女だったと知ったのは、再会の後。


でもその時、傍らにあったは金紡ぎの髪の学友。

彼の瞳を見て、はじめて。過去の自分達はとても醜かったのだと知り、そしてそれを恥と刻んだ。

……そんな、はじまり。


トライアングル・ラビリンス


* * *

国軍聖大使ティラは、自らの使命に疑念を抱いていた。

そもそも聖大使一族とは一体何なのか?


「国軍聖大使」……ウィルシード独自のこの不可解な制度の真の正体を暴くため、ティラは「クレセントバイブル」を求め、パレスから単身・旅立つ。


迫る追っ手から彼を救うは、孤児院で働く若き修道女、エデルハイド

ティラはそのまま孤児院に身を潜めるも、そこで待っていた日常は、ティラには予想外のものだった……。


月明かりの王国に渦巻く陰謀、闇に叫ぶ犠牲者達。蒼穹の裁きが闇の雷(いかずち)と降る(くだる)時、刻んだ誓いが呼ぶ悲劇。